絶対零度の鍵

「ええ!僕、降って来たんですか?」



初耳の事実に、僕は驚きの声を上げた。



「そうだ。俺があの池のほとりで本を読んでいたら、昼間なのに一際明るい光が見えたと思って眩しさに目を閉じ、開けたらお前が倒れこんでいた。」




なんてことはないように、淡々とした口調で蓮貴が説明する。



僕が自分が一体何者なのか、皆目検討がつかない。



「ところで星。歩けるんだったら、散歩に行かないか?」




言葉を失っている僕のことなんて、少しも気にしていない様子で、蓮貴は言った。




「星も暇だろう?」




そう付け加えると、返事を待たずに蓮貴は僕に背を向けてスタスタと歩き出してしまう。




「ちょ、ちょっと待ってください…」



慌てて僕は彼の後を追った。