絶対零度の鍵

「え、でも―」


じゃ、僕は死ぬ可能性の方が生きるより高かったって事か?




「薬師は、痛みを取り除くことで精一杯のようでした。なので、蓮貴様が術をお使いになられて―」



「ちょ、ちょっと待ってください。術って何のことですか?」




遮った僕の言葉に、老婆は先程よりも驚く。




「なんと、術を知らないのでいらっしゃいますか?記憶をなくしていらっしゃるから、なのですかね…こんな大事なことを。」




何やらぶつぶつと言っている。



「では、ここが次期温度師の家と言っても、おわかりになられないのでしょうか。」




やがて返された質問に、僕は頷いた。



いつもにこにこしている老婆だったが、この時ばかりは呆れたような表情を少しだけ覗かせた。





「まぁ、良いです。そのことは、追々分かるでしょう。兎に角、簡単に言ってしまえば、蓮貴様がご自分の力で貴方様の命を救った、ということでございます。」