絶対零度の鍵

「でも、本当に良かったですねぇ。蓮貴様に見つけていただいて、正解でしたよ。」




僕の食事の世話をしてくれつつ、老婆が言う。



「…どういうことですか?」



もう三回目になるお代わりを待ちながら、訊ねる僕の手に老婆が椀を渡した。




「蓮貴様にお聞きになられていないのですか?」




意外なことを聞いたとでも言うように、彼女は軽く目を見開く。




僕が首を傾げると、老婆は自分の口に手をやる。




「あら、じゃあ言わないほうが良かったかしら…」




「いや、そこまで言われると気になるので教えていただけませんか?」




「そうですよねぇ」



老婆は自分の中で葛藤があったようだが、暫くして口を開く。




「実は貴方様の傷の治療は、治癒院の薬師では限界があったんです。」