絶対零度の鍵

だが。


「俺は、やることがないのだ。」



とってもシンプルに、蓮貴は答えた。



「え?」



僕にはその意味がわからない。




「この村の若者たちは皆働かなければならない。だが、俺は免除されている。だからやることがない。暇なのだ。」



端的にまとめてくれているようだが、わかりそうでわからない。


でも、免除されてるってことは…


「何か、病気でも…?」



そう訊ねると、蓮貴はふっと笑った。



「そうだな。ある意味で、病だ。それも不治の、な。」



蓮貴の目は真っ直ぐに庭を見つめているようだが、その瞳に映るものは庭ではなさそうだ、と思った。



「だから、お前が気にすることは無い。それにこの村に入ることができるのは、この村の血を受け継ぐ者のみ。つまりは恐らくお前は遠い身内だろう。記憶を取り戻せなくとも、案ずることは無い。」



気を取り直すように、蓮貴が呟いた。