絶対零度の鍵


「何を、している?」




静けさを裂いて響く声に、驚いて肩を震わせ、いつの間にか俯いていた顔を上げた。




「蓮貴…さん」



闇に紛れるような漆黒の髪の青年がすぐ傍の柱に寄りかかって、こちらを見ている。



「そこまで動けるようになるとは、大分回復したようだな。」



「すごいんですね。薬師って…一日でこんなに良くなるなんて…」



感心しながら言うと、蓮貴がふん、と鼻で嗤(わら)った。




「一日でそんな直ぐに良くなるわけないだろう。あれからお前は三日間眠ったままだった。」





「え?!」




驚きの余り、夜分なのも忘れて声を上げ、慌てて掌で蓋をする。



僕は、そんなに眠りっぱなしだったのか。




「途中もう目覚めないのではと心配していたが、大丈夫だったようだな。」



言いながら、蓮貴は僕の横に並んで腰を下ろした。