絶対零度の鍵

この青年、もしかして、、もしかしなくても、、、僕を助けてくれたのかな。



「ありがとう…」



感謝の気持ちを伝えると、仏頂面だった男の顔が一瞬だけ穏やかになった、気がした。



「礼は、要らない。ただの暇潰しだ。どうせこの屋敷には無駄な部屋が幾つもある。怪我が治るまで留まるが良い。」



そう言い捨て、青年はくるりと背を向けた。




「待って…君の、、名前、は?」




慌てて呼び止めると、青年は僕をちらりと見やってから、すぐに目を背け、




「蓮貴だ。」




とだけ言って、僕の視界から消えた。



蓮貴。



僕の中で、老婆の話と繋がる。



急な睡魔に襲われながら、ふと思う。



漆黒の髪と目が、印象的な青年だ、と。