「ああっ!!あそこっ!」
三者が考え込むように、黙り込んでいると、尭の驚いたような声が響く。
弾かれたように僕等は顔を上げて、尭が指している方へ向く。
「あ…」
「蓮貴…」
僕だけは、心の中で呟く。
兄貴。
止むことの無い強い風と、霧雨。
その場にいる全員が、自身を庇うことに必死になっている中で。
悠々と浮かぶ蓮貴が、僕等よりもずっと高い位置に居た。
漆黒の髪と、漆黒の衣を身に纏い、こっちを見下ろしている。
「あんたねぇっ!!そんなとこにいないで!降りてきなさいよ!この城どーしてくれんのよ!」
さすが、右京。
この状況にあっても、口だけは減らない。


