絶対零度の鍵

「信じられないというのなら、それでいい。多くの人間共がそうしたように、見ないフリをすればいい。あたしは構わない。」



切り捨てるように右京は言った。



「…だけど…、あなた達二人は分かってくれるような気がしてた…お門違いだったみたいね」




そう言うと、右京はくるりと僕等に背を向けて、奥の通路を抜けてどこかへ行ってしまった。




………


……



ちょっと。



困るんだけど!



僕は右京の居なくなった方向から、背後のふたりの方へ静かに振り返る。





尭はすっかり意気消沈して落ち込みモードだ。




溝端はと言うと―



「なーんだ、つまり俺様に協力してもらいたいってことか。仕方ねぇな、俺の頭脳を貸してやるか。」



似合いすぎている眼鏡の真ん中を中指でくいっと持ち上げながら、不敵に笑った。




素敵な勘違い。



いや、まぁ、そうなんだけど。



なんか、腑に落ちないリアクション。



僕は、瞬きを何度も繰り返ながら、信じられないものでも見るかのように溝端に目をやった。




お前、ちょっとは反省しろよ、と。