絶対零度の鍵

裏口の戸に寄りかかりながら、鍵師と最後に交わした言葉を回想してみる。



城の近くに開業してくれと頼んだら、寒いのが苦手だと言っていた…




「ってことは…」




この国にはもういないかもしれない。




「お、お、お、おわぁぁぁぁっ!」




ドタン!



それに思い当たった途端に、背中を預けていた扉の感触がなくなり、後ろ向きに右京が倒れた。




「-ったぁ…」




いてててと頭を抑えつつ、何があったのか咄嗟に見渡すと。



そこは、カウンターの奥の部屋。



つまり、鍵師の店の製作室だった。




どうやら、裏口に鍵がかかっていなかったようだ。




「鍵師の癖に」




へっと笑いを溢し、部屋を観察する。


閉め切られていたせいか、鍵師の好きだった香の残り香がした。