絶対零度の鍵

溝端の口角が、完全に下がった。



「あなた達人間は愚かだわ。いつでも自分たちは生きていると思っている。そして突然の死の宣告を受けて初めて、狼狽するのよ。命在る物はいつ滅びたっておかしくないのに。」



右京の言葉は、余りに真っ直ぐ過ぎて。



僕の心にも突き刺さる。



そうなんだ。


結局はそうなんだ。



明日が来ない、なんて、誰も思っちゃいないんだ。



明日はいつもある。


大切な人は明日も居る。


変わることなんてない。



変化は穏やかに緩やかに。



気付く事無く、あるもんだと思い込んでいる。



誰かを傷つけても、謝る時や感謝する機会はいくらでもあると勘違いしている。





だから、突然、全部なくなるって言われて初めて。




伝えたい言葉を、紡ぐわけだ。




右京の言う通り。




僕等人間は、本当に、愚かだ。