絶対零度の鍵

いつもはふざけた調子の右京しか知らない二人は、その語気の強さに笑うのをぴたりと止めた。




「…知ってるよ」




やがて、溝端が溜め息と共に呟く。


それがなんなんだ、という響きにも取れた。




「なら、わかるよね?地球の均衡が保たれなくなってるってこと。危険な状態にあるってこと。人間さえいなければ、地球は自力で回復できるのに。」




怒りを含んだ、右京の声は、氷のように冷ややかだった。




「当たり前のことにも気付かずに、自分のことだけしか見ないあなた達が、どうして現実と夢の境を知ったような口を聞くのよ。」




僕が、右京のこんな声を聞いたのは―



こんな、苦しげで悲しそうな声を聞いたのは。




多分、いつかあの山の頂上に二人で登った時以来だ。