絶対零度の鍵

グスは暫く固まっていたが、少しすると、ぎゅぎゅぎょぎゅぎょ、という僕にはさっぱりわけのわからない言葉で、右京に必死に説明を始めた。


右京は、そんなグスを睨みつけたまま、へぇ、とかほぉ、とか相槌を打っている。



「ん、わかった。ありがと」



そして、そう言うなり、ぽいっとグスを放り投げた。



ぎょーーーーーーーー



なんとも悲しげな鳴き声が、遠退いて行く。



右京の容赦ない馬鹿力。



今まで居たグスは、もう居ない。





「なんかねぇ、一旦ここで記憶を消すみたいよ。」




グスのことなんか、少しも気にならない様子で、右京は僕に説明する。




「その記憶をまとめあげておいて、それぞれ部屋を割り当てる。暫く住んでもらって、全部が片付いたら元に戻す、そーいうシステムになってるみたい。」





えー、と。


つまり、ここに居る間の記憶や、来たことは、忘れ去られるようにするってことかな。



だよな。



じゃないと、まともな人間は耐えられないだろう。