絶対零度の鍵


別に不幸な境遇なわけじゃない。


そこそこの家庭。



普通の父親に、


どこにでもいるような、小うるさい母親。



優秀な兄貴。



どこの家族もするように、兄弟が比べられるのなんて当たり前で。




「自分の居る意味が、時々わからなくなって、もがいて、疲れて。そんなんだったら、一日一日楽しんだ方がいいと思ってた。将来(さき)のことなんか、考えなくていいって。どうせ、明日死ぬかもしれないんだから。」



こんな心の内を、どうして僕はこんな3人に語ってるのか、途中でわからなくなってきた。



けど。



「今、地球が切り離されるって知った時。こっちの世界に留まるか迷った時―」




僕は。



「帰る場所が残されていないと知って、残念に思った。」



自分の馬鹿さ加減に、呆れ果てている。



「死ぬのが、惜しいと思ったんだよ。」



こんな、土壇場で、そんなことに気付くなんて。