絶対零度の鍵

「…では、何か。あの呪われた温度師以外、我々の世界に温度師はおらん、と?」



灼熱の国のかなりのご老体らしい賢人が、皺がれた声で重々しく訊ねた。



その目は白だけになった太い眉に覆われて見えない。




「残念ながら、そういうことになります。」




左京が頷く。




途端に動揺が伝染する。




「我等の国は滅亡か?」



「あいつはまた何をしに来たんだ?!」



「何が目的だ?」




口々にそれぞれが誰にでもなく疑問を口走った。





「静まれ。」




まるで雷のような轟きが怒る。



僕はビリビリするその声に驚き、思わず声の主を探し、見回す。





あ。





今まで黙していた灼熱の王、燕軌(えんき)の声だった。



燃えるような赤毛が、目に、染みる。