皆が口を噤んだのを待ってから、左京が再び口を開く。
「これは、憶測ですが―我々の世界に混乱を生じさせる為と、数千年前の伝説の温度師と彼の持つ本を探す為に、鍵の破壊と白き獣が使われたのかと考えております。」
周りの者たちは興味深そうに、左京の報告に聞き入っている。
僕は、もう知ってることなので、ちょっと飽きてきた。
「けれど、実際の温度師―つまり蓮貴ですが―、彼は地球に居たのです。それはタクミの兄でした。」
そんな、まさか、とんな声がちらほらと聴こえた。
「温度師は蓮貴を見つけ出し、目覚めさせました。」
左京の語りに、僕の記憶が呼び起こされる。
「そして、蓮貴によって、現温度師は滅び失せました。」
最悪のシナリオだったらしい。
会議参加者の大多数の顔が青ざめて行く。


