絶対零度の鍵



「うっさいわねぇ。あんたはちっとは待つってことを覚えたらどーなの?」



立ち尽くす僕の脇をスタスタと右京が通り過ぎていく。



「はぁ?なんで俺がそんなこと覚えなきゃなんねぇんだよ。いっつも右京のことばっか待ってたら、終わる仕事も終わんねぇっつーの」



「なんですってぇぇ?!!」



ぎゃんすか言い争う双子をよそに、鍵師は僕を見るとにやっと笑った。



「中々似合うのぉ」



「あ、ありがとうございます」



僕は我に返って、返事をしつつ、グスがひいてくれた席に座る。



多分上座の一際豪奢な椅子が、王の席なのだろうが、まだ空いている。



ぎゃーぎゃー騒ぐ双子と、穏やかな鍵師。


テーブルに所狭しと並べられた珍しい料理。



うん。



どれを取っても、何を見ても、人類滅亡一歩手前の状況だとは思えない。