「うっ…」 僕の後ろで聞こえる鈍い声にはっとして、直ぐに振り返り、眠っている筈の兄貴を見た。 「兄貴!?」 焦点は定まっていないが、兄貴の目が薄らと開いている。 僕は必死に呼び掛けた。 「兄貴!!!」 あんたは僕の兄貴だよな? 心の中で、繰り返し訊ねる。 さっき温度師に言われたことが。 『お前に兄なんて居ない』 頭の中で繰り返されているんだ。 嘘だよな? だって僕は。 兄貴の背中を見て、追いつきたくて、追いつけなくて。 もがいてここまで来たんだぜ?