「あれ、もしかして左京?」 緊迫した空気の中、僕がこっそり鍵師に訊ねると、鍵師は頷いた。 「…じゃ、なんであんた猫?」 「…この方が隠れやすそうだから」 「…………」 「…………」 「ひ、卑怯っ」 「五月蝿い。元々ワシは鍵師じゃ。闘いには向いとらんのじゃ」 年寄りの猫は、年寄り特有の自分勝手さを最大限に使っている。 「じゃ、ここに居てくださいよ」 「?!何っ、ワシを拉致する気かっ」 僕は双子の姉の影に隠されつつ、ぎゃーぎゃー言う猫を膝に抱え、兄を後ろに庇う。