絶対零度の鍵



無言で僕のお気に入りの場所に、兄貴は上っていく。


変だな。

いつもの兄貴のような大らかな感じがない。



―なんか病院でミスでもしたのかな。それとも上の先生に怒られたとか?



ただ、僕の知っている兄貴は、例え理不尽なことで怒鳴られようが、珍しいミスをしてしまおうが、落ち込むことがあっても、苛々することはなかった。


周囲の人間がどうであれ、自分と比べたりしないし、己の道を行くタイプだ。


八つ当たりするようなこともない。


けど。


こんな風に、僕の道草場所を知りたがるタイプでもなかった。



その上、右京がここに倒れていたのを見つけたのは、二週間以上も前になる。


今更?


考えれば考える程、益々わからなくなるばかりだ。