絶対零度の鍵

「それは…何処に咲く花ですか?」


頬を緩ませて、老人は答える。


「池でさぁ。小さな花でさぁ。」



蓮貴の予想が確信に変わる。




一年中あの場所に咲く花が、突然どうして咲かなくなったのだろう。




「池を潰されてしまったのですか?」


蓮貴は心底残念に思いながらまた訊ねる。


「いや―そうじゃないんでさぁ…」


老人の顔が辛そうに歪むのを蓮貴は見逃さなかった。


「ある日を、境に。。。みぃんな、枯れてしまったんですわ」



「ある日?」



「…変な天気の日で。いやまぁ、私らの村にはそんなことはいつものことだから、大して気にも留めていなかったが、綺麗な夕焼けが途端に雨雲に覆われてその後雪に変わった日でしたなぁ。」



何か、嫌な予感がする。