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「温度師が故郷に帰らぬのは何故だ?」
灼熱の国の王に現状の報告をし終わり、一礼した後背を向けると、声が掛かった。
王の気まぐれな一言だ。
見つからぬように、こっそりと溜め息を吐いてから、蓮貴は後ろを振り返る。
「はい。私は多忙ゆえ、故郷に帰る間も惜しいので。村を出てからもうどのくらいの年月が経ったのかも忘れてしまいました。」
本当は、しっかりとカウントしている。
村を出てからまだ17年。
母は元気で居るだろうか。
池のほとりには変わらずに白い花が咲いているのだろうか。
陽が綺麗に沈む様子が、あの山から見えているだろうか。
あの子は誰かと一緒になって、子供を産んで幸せに暮らしているだろうか。


