薄暗い空気に触れると、少しひやりとした。
あぁ、そうか―
引っかかっていた何かが、今わかる。
書庫という言葉を聞いて思い出したのは、翠の事だったのだと。
ゆっくりと、空間に身を任せながら、目を閉じ、蓮貴は呼びかける。
翠。
あの時、答えなかったけど。
温度師って言うのはね。
膨大な力を持つものほど、
自由からかけ離れていくものなんだ。
君を愛していると言うことすら、許されないんだよ。
せめて、最後に―
さよならを言いたかったけれど。
別れを告げることすらできないみたいだ。
二度と逢うことはないだろうけど、
どうか、笑顔で。
できるなら、
君だけを、
守る者になりたかった。


