絶対零度の鍵




「いいか、私もこちらの式が終わり次第急いで向かう。お前は火を食い止め、書士の安否を確認しろ!」


詩尉の指示に、男は短く返事をすると、すぐに立ち去った。



「…書士め…極刑よりも自害を選んだか…」



低く呟いた詩尉の言葉を、蓮貴は話が見えないまま耳にした。


蓮貴の心にひっかかる何かが、大きくなるのだが、それが何なのか、まだわからない。



「…申し訳ございませんでした。では、再度お願い致します。」



詩尉は先程と同じように跪き、異空間への扉を見つめた。



蓮貴は、再び足を踏み出す。



その中に入ると、一瞬で自分は王と謁見することになる。



二度と、この村には戻ることが出来ない。