絶対零度の鍵

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「さぁ、今から温度師としてその手腕を振るわれてください」





衣擦れの音と共に、蓮貴は役人の前に立つ。




―温度師の命とは儚いものなんだな。




余りの呆気無さに、同情すら覚える。


どこでどうして息絶えたのか、それすらも自分は知らない。


葬られることもない。


哀しむ者も居ない。


自分もそうなるのだろうか。



自分の家で温度師としての任命を受けているにも関わらず、どこか現実ではないかのように感じていた。


高価な材質の袈裟が、やけに安っぽく見える。