絶対零度の鍵



それなのに、書士は一向に立ち上がろうとしない。



「…いい…もう、オワリなんだ…」



そして、囁くように呟いた。



「…え?」



「書の紛失なんてことすらなければ…こんなことにはならなかったのに…色々と隠蔽しようとして整理したのが仇になったか…」



書士が薄らと開いた目は虚ろで、どこか遠くを見ているようだった。



「千年に一度の鐘の音が、、、聞こえたかい?」



唐突にも聞こえる問いに、翠は答えることができない。



「温度師が、死に…後継者が出る鐘の音……」



書士の言葉に、翠は言葉を失くす。


書士はそんな翠に構うことなく、今度こそ固く目を閉じ、二度と口を開かなかった。