池が見えてくる手前の道に、ちょうど書庫が視界に入った。 「…え?…」 翠は直ぐに異変に気づく。 チロチロと赤い何かが、村の書庫に纏わりついている。 それは― 「火?!」 翠は粉雪舞う中を裸足で全速力で走り、書庫へと向かった。 酸素を喰らい、炎はみるみるうちに成長を遂げる。 バン、と大きな音を立てて翠は書庫の扉を開けた。 「きゃぁっ!」 開いた扉から炎が噴き出され、翠を襲う。 煤に汚れながら、翠は様子を見ようと猛烈な熱さの中、必死で目を凝らした。