「蓮貴、、池に居るかな…」
翠が唇を噛む。
昔は何処にいるか、なんて直ぐにわかったのに。
翠は蓮貴との間にできてしまった溝が嫌で仕方ない。
でも、一方的に向こうから遠ざかってしまえば、どんなに追いかけたって元に戻すことはできない。
「本、大丈夫だったのかな…」
池に向かって歩きながら、翠は書士の言葉を思い出していた。
蓮貴はまだ正確には温度師じゃないから、もし読んでいても大丈夫なのかも。
とにかく訊いてみないと。
実はそんなに大した本ではないのかもしれない。
書士自体読んだことがないと言うのだから、尚更だ。


