絶対零度の鍵


それ以後。

自分はひたすら自分と向き合うことになった。

と、いっても。


「さらに暇になっただけだったな―」


蓮貴は陽から目を逸らして、伏し目がちに呟いた。


そして、両方の掌を椀の形に、例えるなら水を掬うような仕草をした後で、くるっと引っ繰り返し地面に撒いた。



と。



陽に焼けた空が、みるみるうちに黒い雲に覆われ、ぽつり、ぽつりと雨が降り始める。



しとしとと静かに落ちる雨に構う様子もなく、蓮貴はただ自分の手を見つめる。


漆黒の髪が、水分を含み、益々黒味がかった。