ちょうどその頃―
蓮貴は裏山に来ていた。
そして一人、沈む夕陽を見つめ、昔のことを思い出す。
―昔、翠とよく二人でここにきたな。
焼ける空が自分の心を少しだけ感傷的にさせた。
―稽古がなくなった日も、ここで陽が落ちるのを見た後だった。
あの日は翠が温度師について色々訊いてくるものだから、つい苛々した返答をしてしまい、気を悪くした翠はどこかへ行ってしまった。
釈然としないまま、自宅に帰ると母が門の所で自分の帰りを待っていた。
『明日から、私が貴方にお教えできることはありません。』
母の話し方が、親のそれから、自分に敬意を表するものに変わったことを、直ぐ悟った。
蓮貴は裏山に来ていた。
そして一人、沈む夕陽を見つめ、昔のことを思い出す。
―昔、翠とよく二人でここにきたな。
焼ける空が自分の心を少しだけ感傷的にさせた。
―稽古がなくなった日も、ここで陽が落ちるのを見た後だった。
あの日は翠が温度師について色々訊いてくるものだから、つい苛々した返答をしてしまい、気を悪くした翠はどこかへ行ってしまった。
釈然としないまま、自宅に帰ると母が門の所で自分の帰りを待っていた。
『明日から、私が貴方にお教えできることはありません。』
母の話し方が、親のそれから、自分に敬意を表するものに変わったことを、直ぐ悟った。


