絶対零度の鍵



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池の水面に、草舟が気ままに浮かぶ。


その様子を、ぼんやりと眺めていると、もう慣れ親しんだ声がする。


「蓮貴ー!本当にお気に入りの場所なのね、小さい頃から必ずここに居るんだから。」


腰に手を当てて呆れたようにこちらを見る翠は、近頃とても美しくなった。


蓮貴はそんな彼女を、眩しそうに見上げる。


が。


「…翠。。何の用?」


いつからか、蓮貴は翠に冷たく接するようになった。


「村の書庫を整理していたら、蓮貴が好きそうな書物が何冊かあったから、持ってきてあげたの!図鑑もあるみたいよ?」


そんな蓮貴に気づいていないわけはなかったが、翠は昔と変わらず、明るく蓮貴に構い続ける。


「…ふーん」


翠が手提げ袋を広げて見せているのを、蓮貴は興味なさそうに一瞥して、また視線を水面に戻した。