蓮貴の母もそうだ。
自分達は選ばれし一族だと信じている。
ふぅ、と小さいが重い溜め息を吐くと、蓮貴は座り込んでいたところから立ち上がり、服を軽く叩いた。
所詮、抗うことのできない運命(さだめ)だ。
幼い頃から、それが間違いだなんて思いもしなかった。
おかしいとは思わなかった。
けれど、近頃心が揺れる。
この揺れを抑えられなければ、温度師の後を継ぐことができない。
「呪われた一族だ」
吐き捨てるようにそう呟いて、蓮貴は沈む夕陽に背を向ける。
蓮貴が先程なぞった雲が、縦方向に、まるで剣のように、地平線に刺さっていた。


