絶対零度の鍵

ぱり、ぱりと音を立てて、翠の作ったお菓子をかじり、蓮貴は考える。


今の温度師の名前はなんだったか、と。


死期が近づくと、温度師は後継者を指名する。


温度師の寿命は大体、千年前後だ。


そして、その頃になると、温度師に見合うだけの能力を持った子が、一族のどこかの母の胎に宿る。


それを感じ取ると、温度師は自分の命があと少しで終わることを知る。



自分の任務も、終盤だとわかる。



温度師として村を出る者は、二度と故郷には帰らない。



では、どうやって指名するのか?


空間を飛び回る温度師にはそんなことは造作ない。



星を降らせるのだ。



星を降らせて、その中で一際輝く星が、次の温度師の家に落ちて光を散らす。



一族の誰の目にも明らかな、後継者の指名の儀式。