絶対零度の鍵



先程までの光景が嘘だったかのように風はぴたりと止んだ。



「暫くぶりじゃのぉ、左京。お主は中々店にやってこんからの」



ソファから腰を上げるでもなく、さっきと変わらない寝そべった体制で、鍵師は静かに言った。


白い鳩は、珍しい深い藍色の瞳をパチパチさせて、クルクルと笑った。


嘲笑う感じ。


鳩でも、性格が悪そうなのってわかるんだなぁとぼんやり思う。



「左京はいつも隠れていなくなっちゃうかんね。役立たずー」



右京は不貞腐れたように言う。


そんな右京を鳩は楽しそうに眺め、やっぱり笑っているように見える。



「なんであんたそんなんになってんのよ」



尚も、右京がつっかかると鳩は自分の姿を眺めた。



「羽根を失いたくなかったから」



片翼をピンと広げて見せると、確かに鳩はそう言った。