絶対零度の鍵

「それは世界が入り混じらなくともそうなる。王の手腕の責任を問われるからだ。王権は剥奪され、王と王に仕える者とは力を失い、命を失う。例え、次代の王が家臣を引き継ぐことになったとしても、あの子は今の王を慕っておる。共に逝く覚悟じゃろう。」


そんな馬鹿な話って今時あるのか?


僕は言葉を失う。


「だから、右京は地球に住む人間が嫌いじゃ。自分達の手でこの星を汚し、当たり前ではない物を、当たり前のように受け、地球の悲鳴を聴こうとせず、滅び失うまで気づかない。自分たちの犯してきたことを、自分たちの知らない誰かが奔走して拭おうとしていることも知らずにのうのうと生きている。」


猫自身、いや、鍵師自身の怒りでもあるのだろうと思う。

碧色の瞳がゆらり、小さく橙に燃えるのがわかった。

陽の光ゆえの錯覚かもしれないが。


それを見て僕は。


右京がいつか言った言葉と、表情を思い出していた。



―人間は、無償で受けているものに気付かない。



そう言うのも当然だ。


命が、大事な人の命が、こんな僕が住んでいる世界に、掛かっているんだから。