絶対零度の鍵

「…自分自身の目や精神状態を疑うことはしないのかの?」



「えっと…それは…」



猫の言葉は、ここ数日自問していたことなので、答えに窮する。



「冗談じゃ。お主の目は確かだし、精神はどこも異常をきたしてはおらん。」



なんだよ、冗談かよ。



猫の表情はわかりにくすぎる。



「まぁ、それなら話は早い。ここが滅びるのも時間の問題じゃ。我々の国を道連れにして、な。この地球という場所は余程特別な星なんじゃろう。」


「?どういうことですか?」



「我々が支配している空間は無数にある。そのうちのほとんどはなくなっても誰もわからない程の星じゃ。大した影響もない。ただ稀に、多大な影響を及ぼす星がある。それは実は密接に我々の世界と関わってきたからなんだが―、そうした星が滅びる場合、こちらの世界もその住人もろとも失くなる。」



つまり?


僕は今の言葉を自分で消化するために噛み砕く。


「なんでもない星だったら、滅びても、そっちの世界は何の影響も受けなかったわけですか?」


「民間人は、な。王とその家臣は違う。命が掛かっておる。」


王の命とその家臣ってことは…


王、と…



「右京の命も?」



「左様」


猫は僕の反応をわかっていたかのように直ぐ頷いた。