絶対零度の鍵

「…この奥に、横になれる位のソファがある。お若いの、あんた運んでやってくれないかの。」


猫は僕をじっと見つめながら、貫禄を感じさせる口調で言った。


「…わかりました」


猫と話すという、なんとも不思議な体験に戸惑うが、一応返事をする。



「全く。お転婆な娘だわぃ」



先だって歩きながら、猫がぶつくさと文句を言っている。


結局右京をおんぶしながら、僕はふらふらとその後を付いていく。



「右京はどんな状態でやってきた?」



ひぃひぃ言いながら、でかい女・右京を横にならせてやると、猫が訊ねてきた。


「瀕死でした」


一応一部始終話すと、猫は難しい顔をした(元々毛がフサフサしているので険しい顔に見える)。



「奴の毒にやられたのか…よくあれだけ元気に今まで居れたもんだ。」


呆れたように呟くと、二本足で立ち上がり、右京の方へトテトテと歩いていく。