絶対零度の鍵

「授業中だろ?」


返す言葉が見つからなかった僕は、プールから上がり、右京の傍へ行った。


「だって、じゅぎょーは必要ないもん。」


少しも悪びれず、右京は言う。


「それに、クミが居ない」


これは…


刷り込みかなんかか?


最初に面倒を見た人間は、最後まで世話役なのか?


頭の中に一瞬カルガモの親子の姿が思い浮かぶ。


「クミは放課後決闘するんでしょ?居ないと見れないから」


そっちかよ。


僕はがくっと肩を落とした。


「あれ、君のせいなんだからな。」


批難の気持ちを込めて言うと、右京が、え?と首を傾げる。


「小松は、君が好きらしいよ。でも、僕と君が付き合ってると思ってるんだよ。」


「つきあう?」


え、まさかこの生き物、その意味もわからないんじゃないだろうな。

嫌な予感がする。


「付き合うって何が?」


小首を傾げる右京はかわいい。

でも、大体は面倒。