絶対零度の鍵

そして、見つけた。


僕は信じられないものを見るような目で、プールサイドにちんまり座ってこちらをじっと凝視している右京を見た。


髪の毛から滴り落ち、顔を伝う雫を払うこともしないまま、呆然とする僕。


「…どうしてここに?」


しんと静まり返るプールに、僕の声はよく響いた。


「だって、クミが居なかったから。」


あっけらかんと彼女は答えた。


いや、そういう意味じゃなく。


「なんでここに居るってわかったの?」


当たり前のように、右京はここに居るけど、当たり前じゃない。


溝端はこの場所を教えない。


そして、右京は一度だって、この場所に来たことはない筈なのに。


にかっと人懐っこく右京は笑った。



「クミの匂いがしたから」



人間じゃない。


じわじわと僕はその事実を確認しつつあった。