絶対零度の鍵

八方塞(はっぽうふさがり)だ。

四面楚歌だ。

いっそこのまま水と一体化したい。

現実逃避しながら、目を閉じた。

聴こえるのはただ、水の音。

そして、風の音。



「クミ」


……


ん?


この短期間で耳に馴染んだその呼び名がここで聞こえるなんて。


目を閉じたまま、眉間に皺が寄った。


いやいや、在り得ない。


だって、間違いなく今は授業中。


彼女はきっと授業を受けている、と思いたい。


「クミってば」


それでも無情にも聴こえる不本意な名前。


下に足をついてがばっと起き上がると僕はきょろきょろと周囲を見渡した。