絶対零度の鍵

い、居心地悪っ。


「もしかして…」


溝端が口元に笑いを湛えているのが目の端に映る。


静まり返った教室内で、右京は音もなく僕の目の前まで歩いてきた。


もとい、僕は廊下の大男こと小松を見て固まっているので、右京は背後に立っている。


それを僕は背中の眼で感じる。


冷や汗という名の僕の涙。


どなたかかばってくださいませんか?


「ねぇってば。今日さ、一緒に帰れる?」


純粋無垢なこの発言は、僕にとってある意味人生にピリオドを打つことに等しい。


「なんだと?」


僕の視界いっぱいに映るゴリラは、はっきりと僕を見てから拳を作った。


お願い。これ以上僕を不良品にしないで。