絶対零度の鍵

明るく響く、うるさいくらいにでかい声。


「クミぃ???」


あぁ。

しまった。

この大男が反応してしまった。


「クミって誰だぁ?」


僕は引き出しの中に入ってしまいたい。

なんで高校の机には小学生の頃使うようなプラスチックの引き出しは入っていないんだろう。

もしあったなら、僕は間違いなくそれをかぶって教室を出て走って理科室の掃除用具要れにでも隠れただろうに。

うん。身体ははみでるよね。それはしょうがないよ。


「クミって…?」


フリーズドライになった僕に気づかないまま、溝端も右京の方を見ている。


「クミ!」


人だかりをかきわけて、なんの嫌がらせか右京は僕の方へ笑顔を向けた。


ざざっと周囲の視線が僕に集中する。