絶対零度の鍵

次の休み時間。


「えー、じゃあ右京ちゃんって今望月くん家に住んでるの?」


「右京ちゃんって何処の国から来たの?」


「なんで日本語ぺらぺらなの?」


「日本に来るのは初めてなの?」


「食べ物何が好き?」


「彼氏居るの?」


右京の机の周りは人だかりができていた。

季節外れの美しい転校生に、他のクラスや学年からも、見物客が覗きに来ている。

廊下側の前から3番目の僕は、窓際の前から5番目になった右京の席があるだろう場所を肩肘を突きながら眺めていた。


「すっかり人気者になっちゃったなぁ」


僕の前の席の溝端が、感慨深げに言う。

右京は人を寄せ付けない程の美人だから、孤立するのかな、なんて予想していたら大間違い。

持ち前の底抜けに明るい性格で、あっという間に皆を魅了した。

しかし、あれだけ地球について知らないと言いつつ、色々詳しい情報を持っているようで、人だかりからは笑い声が度々聞こえる。


やっぱり厄介な妄想壁の女かなぁ。

僕だけからかわれてんのかな。

そーだよな、普通地球滅亡とかってないよな。