絶対零度の鍵

僕が答える前に、予鈴が鳴る。


「とりあえず、転入生ってことで、ウチのクラスらしいから、仲良くしてやってよ」


鐘が鳴り終わるのを待ってから、それだけ告げると僕は教室へ向かう。


尭はぶすっとしたまま、僕の後ろに付いてきて、


「私はクラス違うもん。」


口を尖らして呟いた。


ひゅー、と溝端が口笛を鳴らす。


「だいじょーぶだって、田中。あんな美人、卓の手には負えねぇーよ」


お前にもな。


僕は前を向きながら、心の中で悪態を吐いた。


いや、悪態じゃないか。


本心だ。


むしろ、右京のことを手に負える奴がいるなら、誰か教えてくれ。


一瞬だけ、僕は天(正確には天井)を仰いだ。