絶対零度の鍵

「あっれー?何騒いでるのかなと思ったら。卓じゃん。あ、おはよー田中。」


校門を目前に、背後から聞こえる、またしても馴染み深い声に僕はがっくりと肩を落とす。


面倒なのがまた増えた。


少し早足で僕らと並ぶと、溝端は首を傾げた。


「誰?その美女」


そしてニコリと笑って、右京の隣につくと、


「俺、溝端淳(みぞはたじゅん)。よろしくねー」


手をとってぶんぶんと振った。


「どーも!」


右京は楽しげに溝端に答える。



「どーりで、登校中の生徒たちや道行く人たちの視線を奪ってるわけだ。こんだけ美人ならなぁ」


溝端はにやにやしつつ、僕に眼で何かを訴えている。


「お前の知り合い?紹介してよ」


ほんと、どいつもこいつも面倒くさい。


僕はみんなの声を無視して、右京をとりあえず職員室に連れて行った。