絶対零度の鍵

自分自身の内にある苛立ちに座ることすらできそうにない。


そんな僕はただ突っ立って、幸せそうに朝食を済ませ、ごっきゅごっきゅと音をたてながら紅茶を飲み干した彼女を見つめていた。


「ぷふわぁー!あぁ、美味しかった。クミのお兄さんはレストランでも開いたらいいよ。きっと繁盛するよ。」


満足げに勝手な感想を述べると、椅子に座ったまま僕を見た。


あぁ。

口の端にクロワッサンのカスが付いていようが、

どんなドリーマーだろうが、

暴力女だろうが、

こんだけ腸が煮えくり返っていようが―


見つめられると全て吹っ飛んで、胸が高鳴るくらい、彼女は綺麗だった。


……待て待て待て。


僕は目を逸らさないようにしながら、唇をぐっと噛んだ。


騙されるな自分。

強くあれ自分。

惑わされてはいけない。

相手は美人の面をかぶった変人だ。


非日常だ。