絶対零度の鍵

「いや、警察に行った方がいいんじゃね?」


至極真っ当な提案だと僕は思う。


「…それが、見つかると施設送りだから嫌なんだって。不憫だよなぁ」


この御人好しの馬鹿兄貴が。


とは言えないけど。


「じゃ、面倒見るの?」


僕の問いに、兄貴は曖昧に頷く。


「暫く、ね。だけど俺は何かと忙しくって、面倒見てやれないから―」


ちら、っと僕を見る。


「卓。同い年だって言うから、仲良くしてやってね。高校も暫く一緒に通えばいいよ。ワケありでって、先生にも俺話してみるから。」


いやいやいや。


僕の兄貴も頭がおかしくなってしまったんでしょうか。


「親父とおかんには、なんて説明するんだよ。」


「んー。俺ん家に居ればいいんじゃない?言わなくても。それか一時的な留学生とか。」


腕時計を見ながら兄貴がこともなげに言った。