絶対零度の鍵

「何笑ったり、悩んだりしてんのよ。」


イライラを隠そうともせずに、彼女はややきつめの口調で僕を責めた。


「いや、だって…どこって…ここは、日本です…」


結局敬語のまま事実を伝える、駄目駄目な僕。


「に…ほん?それって国の名前なの?」


もう僕には彼女についていける自信がない。


一瞬宙を仰いだ僕の目に、午前3時を告げる時計の針が映る。


もうMRIで輪切りにしてもらいなよ、って喉まででかかってくる。


「あー、どうしよう。もう時間が無い。あんたの名前は?」


コキコキと首を鳴らし、腕をぐるぐる回し、自分のコンディションを確認しつつ彼女はさらに訊ねた。


「…望月…卓毅です…」


半ば可哀想なものを見るような目つきでそれを見ながら答える。


「モチヅキタクミ…長くてまどろっこしいわねぇ…クミ、あんた、クミでいいわね!」


―は?


僕の頭は完全に停止(ストップ)した。