絶対零度の鍵


「治癒院はあたしには必要ないの。自力で治せるから。ここは?灼熱の国の治癒院なの?あたしの服どこやったの?」


ワケの分からない事をマシンガントークで訊いてくる彼女に僕は狼狽する。


「服…は、怪我して血で汚れていたのと、ぼろぼろだったのとで、多分、、着替えさせて捨てちゃったんじゃないかと思います…」


強いて分かる質問に、何故か敬語で答える僕。


「はぁ?あれ、お気に入りだったのにぃ」


くやしー、と今晩が山な筈の瀕死の患者は騒ぐ。


「く、それにしても背中が痛むわ。でもこんなところで油売ってる場合じゃないのよね。一刻も早く温度師を追わないと…」


ぶつぶつ呟いたかと思うと、すぐに両手を耳に当てて、


「左京?聞こえる?」


と言った。


あぁ。そうか。


僕は悟る。


この子、痛い子か。


夢みちゃってんのか。


うん、ないわ。


いくら美人でも、ないわ。その選択肢は。



強気で美人で妄想壁があるわけか。

僕はこっそり肩を落とした。