絶対零度の鍵

外人か、とは思っていたけど―


今の自分の状況を把握できずに、呆然と真っ白な壁を見つめる彼女の開かれた目は、


僕が想像していたものよりも、そして、今まで見たことのある外人という外人の瞳よりもずっと深い青で。


見る人を虜にするような綺麗さだった。


吸い込まれるようなっていうのはきっと、こういう目のことを言うんだなと、頭の隅で納得した。



「…ここ…どこ…?…!っつぅ…」



当然の疑問を口にした彼女は、自分の全身に纏わりついている筈の痛みに気づき、顔をしかめた。


石のように動けなくなっていた僕も、それで弾かれたように立ち上がった。



「だ、だいじょうぶ?」



ひっくり返った椅子はそのままに、彼女の傍に近寄って、そっと声を掛けた。


誰もいないと思っていたのか、僕の存在にびくっと肩を震わせると、恐る恐る彼女はこちらを見た。


「…………」


そして、かなり怪訝な顔をして―


「あんた、誰?」


命の恩人に対して大分失礼な態度を取った。


さらに言わせてもらうなら、完璧な日本語だった。