「鮎川主任。こっちの賽銭泥棒の件がまだ・・・。・・・でも・・・その赤い顔、クールダウンする必要があるかも」

松本くんの諭すような言葉はまるで…無理は禁物、と言わんばかり。でも、行くな、とも言わない。選択権を・・・委ねているのだろうか。


苦手だと言っていたのに、ずっと黙りこんで、ただただその背中を見せつける相原さんの後ろ姿は、まるでそれを許すかのように。

迫田くんが背中に回して来た、その手の熱さも…

ここにいる優しい人達の熱と、情を背負って。


「アユカワ、いきまーす!…字余り」

ガンダ〇に乗って…じゃない、自転車に乗って、今できることを、しようじゃあないか。


キイ、と小さな音を立てて…
相原さんがこちらへと振り返る。

「「現場100回」」

シンクロした…私たちの合言葉。


じっと地面に這いつくばって、粘って粘って粘るのが…我々の仕事。

何が何でも、確固たる証拠を…見つけて。
背筋伸ばして、帰って来よう。